2009年7月8日
第37回月いちフォーラム『海の底の世界に触れてみよう』
ゲスト:佐藤孝子さん(独立行政法人 海洋研究開発機構(JAMSTEC))最近、かぐやのニュースもあり、何かと話題の宇宙、そして宇宙旅行。でも逆に地球の海の深い部分、深海についてはあまり知られていないのでは?
(知識として知られていない、というよりも、深海を研究しているひとたちのことがあまり出ていないのかもね、ということです)
そんななか、海洋研究開発機構という国の機関で深海のことを調べつつ、「いつか深海旅行を」と画策(?)している佐藤孝子さんをお招きしました。

↑深海の生き物をかわいらしいイラストにして説明する佐藤さん。
今回のお話の中で、お客さんの心をつかんだのはチョウチンアンコウの話。深海にすむチョウチンアンコウは、メスがとっても大きくて、3回りくらい小さいオスは、深い海の中でメスに出会うと、「このひと(さかな)しかいない!」とばかりに、そのメスのおなかに噛み付いてくっついてしまい、その後どこへ行くにも一緒で、ついには血管まで繋がってしまうんだそうです。すべては、めったに出会えないメスともうはぐれないがために。
佐藤さんいわく、「共生」なのだそうですが、どうみてもヒモです。栄養補給もメス由来ときたらそれはもうその表現になってしまいます。
深海の生き物って、かたちだけでなくその生態も深海に適応するために、陸上の生物である人間からは想像もつかない機能をもっているんですね。これは・・・みてみたいかも・・・。
wikipediaより
体格上の性的二形が顕著で、雄は雌の3分の1~13分の1程度の大きさしかない。このように雌と比較して極端に小さい雄を矮雄(わいゆう)と呼ぶ。ミツクリエナガチョウチンアンコウ科など少なくとも4科の雄は、雌に寄生して生活することが知られている。これらの寄生性の雄は種特異的なフェロモンを介して雌を発見し、腹部に噛み付いて一体化する。雄の体には雌の血管が伸びて栄養供給を完全に依存するようになり、生殖以外の機能は退化する。

↑会場に並べられた深海生物の標本。
「深海ならでは」のお話が続いた後、最後のほうで佐藤さんが取り上げた話題が「深海ならではのゴミ問題」。映像を見せていただいたのですが、海の底、深海なので、もうとっても暗いのですが、そこにはビニール袋が流れ着いて溜まってしまっている場所がありました。黒や濃い緑の景色の中、浮かび上がる白い物体。これを実際に深海で目にしたらどんな気分になるのでしょう。
佐藤さんが研究者の視点として説明してくれました。「微生物によって分解される生分解性プラスチックというものがあるのですが、あれは『陸上ならば』分解ができるんですね。でも海の中ではまったく違う生態系が出来上がっています。微生物も違う。私は、これからは
深海と陸上、両方の事を考えた生分解性プラスチックが必要だと考えています。
深海エコマークというものがあってもいいのではないでしょうか」
いろいろな風景や生き物を擁する深海。地球そのものを感じられる場所でもありますが、今回のお話と映像で、深海に潜んでいる様々なものごとにもっと興味がわきました。いつか見てみたい風景ですが、でもその前にやることはたくさんありそうです。
質問の時間で、お客様が、「もう、質問がありすぎて、どこからきいていいのか・・・」とちょっと困りながら、ども楽しそうに質問してくださったときの笑顔が、主催者側にとってとても嬉しかったです。
今回は、会場のモンベルクラブさんのご協力により、ちょっと終了時間に余裕ができたので、会場に用意された深海生物の標本や写真をみんなで囲み、佐藤さんに直接質問をしてもらうことができました。
しかも、これまた佐藤さんとJAMSTECの厚い(そして熱い)ご好意で、普段だったらあまり手に取るのは控えているようなものまでも、「私の目の届くところなら」とびんを持ち上げてまじまじと見ることが出来ました。
また、もっと深海を知ってもらおうと、佐藤さんが行なっている、絵本の読み聞かせのお話もありました。
佐藤さんによる絵本、「くじら号のちきゅう大ぼうけん」⇒
詳細【会場から出た質問】・なぜ深海エコツアーをやろうと思ったのですか?
⇒この「月いちフォーラム」で2007年に講演をしたときに、旅行会社の方がいらっしゃり、「これ、エコツアーになりますよ」とアドバイスをいただいたことがきっかけです。
・しんかい6500は、どのくらいもぐっているのですか?
⇒20年間でおよそ1000ダイブです。
・しんかい6500ってどういう造りになっているのですか?
⇒水圧があるので、ひとが乗るところはチタン製の直径2メートルの真球です。定員は3名で、2名がパイロットです。最近、女性のパイロットが加わりました。
あと、深海での調査時間はおよそ3時間なんですが、半径5mのところしか調べられないので、逆に言うと深海のことってほとんどのことがわかっていないんです。
いつも楽しいお話をきかせてくれる佐藤さん。みなさんも、この夏、深海についても興味を持ってくれると嬉しいです。
独立行政法人 海洋研究開発機構HPでは、当日の様子を画像でお伝えします。

↑カニ。カニ。カニ。と、あとはエビみたいなもの。

↑エビみたいなもののアップ。

↑カニアップ。

↑水圧で小さくなったカップラーメンのカップ。

↑もともとのものと比べてみるとこんな感じ。

↑非売品の写真集。あまりの写真の綺麗さにお客さんから「ほしいんですが、売ってないんですか?」と懇願の声も。
私もこれは自分用、プレゼント用、保管用に欲しいです・・・。
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テーマ : エコツーリズム
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