『観光カリスマが考えるエコツーリズムと地域振興』
山田桂一郎さん(JTIC.SWISS代表)
今回で「月いちフォーラム」には3回目の登場となる山田さん。なぜ3回も? と思われるかもしれませんが、それほどまでにお客様からの「もう一度山田さんの話を!」という声が多いためです。
今回の参加者は最終的に50名。文字通り「ぎっしり」並べられた椅子が埋まりました。

目標は日本の国民生活満足度指数(Life Satisfaction)を世界1位にすること。
こう最初から言い切る山田さん。
そんな山田さんの話を聞きにこられた皆様に、以下の質問をしてみました。当てはまるものに手を挙げていただいたのですが、↓このような数になりました。
1)山田さんの話を既に聞いたことがある: 3割
2)エコツーリズムという言葉をきいたことがある: 9割
3)エコツーリズムを、「ちゃんと理解している」と自信を持っていえる: 0
3番目の質問には、お客様からも苦笑いがもれ、とても困りながら、でも手を挙げようかどうか迷っているかたもいらっしゃいました。そこで山田さんから、「では、みなさんで一緒に考えていきましょう!」という言葉が。
・本当に優れた観光、集客交流地域とは? 人気があればよいのか?
⇒知名度を上げることと認知度を上げることは全く違います。
・たくさんの人がくればよい?
⇒日帰り旅行で雑踏を歩いた、という思い出だけではどうですか?
・観光、商業、事業者だけが儲かればよい?
⇒地域内での大きなマネーフローの仕組みを持つためにも他産業との連携は必要。地域内利潤を高めることが最重要。そうでなければ、個々の利益も上がらない。
観光資源はただ消費するだけではなく、利活用と保全を!!

会場とのやり取りを大事にする山田さん。ご自身の体験を踏まえ、お客様へ質問をされていました。
僕は鳥取県西部(特に大山・皆生)の観光にも関わっているのですが、この中で境港市に行かれた方いらっしゃいますか?
(ひとり手があがる)
何か買われましたか?
(海産物を買いました、という答え)
あなたは境港市ではまれなとってもいいお客さんでしたね(笑)。
旅行先でものを買って頂けるのは「地域にとって有難い良いお客様」なんです。年間約170万人まで観光客が増えているのに、境港市の地元小売・商業動向は右肩下がり。境港市のゲゲゲの水木しげるロードと境港の海産物は全く無関係で、観光的に相互が結びついていないので経済的な相乗効果がありません。
あのPRポスターでも、鬼太郎やいったんもめんが海鮮丼を持っていてくれればよかったのに!! 地域内で一致団結した全体的な動きになっていないのが残念! それ以上に残念なのが、多くの地元関係者が入込数増加だけを喜んでいること。地域内のビジネス的成果がほとんど無く、地域の本質的な魅力も蔑ろにされている・・・。これでは地域は良くはならない。
さらに山田さんの話は続きます。そこにも、エコツーリズムへの思いが感じられます。
・その地域の本当の豊かさとは? 市場経済的、金銭的な豊かさではなく、心の豊かさを感じられる地域の魅力や宝がとても大事。そして、地元住民がその大切さに気付き、自らが保全(維持管理)を行いながら、地域の観光素材としても大切に活用されなければならないのです。
・観光、旅は「異日常」の生活体験が基本。自然の真只中やレジャー施設の中などの「非日常」だけではなく、普段の日常とは異なる他の地域のライフスタイルや生活文化の豊かさを感じることが出来なければその地域まで行く必要性がない。エコツアーは「異日常」と「非日常」の双方のフィールドで行われる商品であり、地域ならではの魅力を最大限に発揮することが出来る商品である。また、エコツアーそのものへの顧客の顕実化した欲求だけではなく、お客様の潜在的欲求まで満たすことが可能な商品である。
「戦略なき戦術では必ず失敗する」と力説する山田さん。「地域の目指すべきゴール(目的)と目標(長中短期別に)を決めることが重要なのです」という言葉に、今回のテーマである「地域振興」の基盤が感じられました。
【JESインターンの感想】
どうやったらその町に自信を持って、観光開発に取組めるのか? 方法としてどういったものがあるのか? を知りたいと思います。
個人的には、山田さんが使われていた、感じる幸せ、幸せを感じるという意味の「感幸(かんこう)」という言葉が好きです。
【今回のキーワード】
・地域振興
・リアリティ
・地元についての誇り
・サービス業のいいところは、雇用が確保できているところ。外からのお金が確保できる。
・地域のこと、環境のことを考える
【参加者からのコメント】
・単なるエコツアーに限らず、如何にすれば地域振興ができるか、目的・方法よりも、理念・理想が大切であることを認識できた。ありがとうございました。
・自己実現=幸せ度の向上を追及して行きたいと思った。今回の話は、どの仕事/職業に通じる理念と思います。
・(一緒に参加した)妻の満足度が高くて大成功です。ありがとうございました。
・観光について、濃い内容のお話で面白かったです。是非また今度はスイス・ツェルマットのお話を聞きたいと思います。
・できれば山田氏の講演要旨を協会HPにて掲載してほしい。
⇒レポートという形ですが、掲載しています。
2006年8月9日『マッターホルンの麓から -スイス・ツェルマットのエコツーリズム』
http://www.ecotourism.gr.jp/event/2006/08/post-56.html
2008年7月11日『スイスにみる観光の本質 ~エコツーリズム、地域とのつながり~』
http://www.ecotourism.gr.jp/event/2008/07/post-4.html
・飲み物は最初にあったほうがよい。講演時間をもっと長くして欲しい。
⇒事務局より:お飲み物を配る際に不手際があったようで失礼いたしました。いただいたご意見を今後に活かしていきたいと思います。講演時間につきましては、今の時間を動かすことは難しいです。ご不便をおかけいたしますが、どうぞご理解いただけますよう、お願い申し上げます。
↓日本エコツーリズム協会の本家サイトはこちら
http://www.ecotourism.gr.jp/
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